何が君の          幸せ何を
     して喜
わか     らいまま終る
     そんなのは嫌だ  ! 忘 れ な い で夢を
    零
ないで涙だから君は飛ぶんだどこまで
      もそうだおそれないでみんなのため
        に愛と勇気だ
が友達さあ あ 
          アンパンマ
 優しい
            君はゆけ 皆の
              夢守るた
                め

          │
                 ──────────────────→ぶさけんな。(どもりました)



ふざけんな。






つまりは、





わら半紙の裏の相性占いに司馬と牛尾先輩の結果が載っていたのも、やたらと司馬との事を聞きたがったのも、あの、写真を撮った事でさえ、
すべては、一番好きな人に喋りかける事ができないカワイイオトメゴコロのせいってか?



冗談じゃねぇ。











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水曜日・昼飯タイム・イン・屋上
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俺は兎丸から奪ったメロンパンを購買の味気ない袋に突っ込み、一人で屋上に向った。

なんだよ。
司馬が好きなら、あんなに俺の前で楽しそうに笑うな。喋るな。接するな。
俺の事、教えて?とか、死にそうな声で俺の名前呼んだり、辰もしらないようなこと話させたりするな!するな!
すげー腹が立つ。
…っていうか、悲しくて腹が立つ。
俺一人での事好きで、そんでもって何もしてないのに好かれてる司馬とか、俺を乗せた辰と兎丸とか、
写真を切り取ったとか、意味不明な事でなにかと俺に付きまとってその気にさせたとか、
保健室に運んだ時に握った手を軽く握りかえしたとか、小さいくせに俺より全然速いとか、
・……ああ、考えるとアイツばっか出てくる俺の頭とか、ムカツク。


立てつけの悪いドアを半場蹴飛ばすように開けると、一気に寒い風が俺を刺した。
今日は風がものすごく強い。
部外者は誰もいない屋上で、小さな二つの髪の毛が蛍光の髪飾りと一緒に俺に手を振った。


「犬飼君?」


ちょっと斜めに首を回して振りかえって俺と確認すると、はスカートと髪の毛を抑えて走ってきた。
そんなに髪飾りは大事か?


「とりあえず…ムカツク」


は? と見上げるの頭を思いっきしぐしゃぐしゃにしてやった。
痛い痛い!と叫ぶ声を無視して全部ぶつけるようにかき混ぜる。
が悲鳴じみた声を挙げ、スカートを抑えるのを辞めて両手で俺の手をを払ってのけたので
そこでやっと手を止めた。


「痛いって?風のせいで聞こえなかった」
「嘘つけ!」
「嘘だよ」
「なんだそれ」
「オマエこそ、なんだそれ」


黄緑の球がついたゴムは申し訳程度にかろうじて髪にひっかかっていた。


「よくも好きじゃない男から貰ったモンつけられるな。
ってゆーか、そいつ、オマエの事好きなんだぜ?わかってんのか?」


はちょっとムッとした顔になって下を向いた。
なんで男から貰ったの知ってるの? と聞かれたらどうしようかと過ったが、そんな心配はいらなかった。
相変わらずスカートを抑えてる手がもじもじ動いて

「自分の事好きな人ぐらいわかるよ」

と小さめの声で言った。
なんかえらそうな事言ってる。

「じゃ、オマエの事もう一人好きな奴がいるって知ってた?」
「え?」
「当ててみろよ」


次々と名前が飛び交う。
中には俺の知らない奴の名前もあった。


「え〜…じゃぁ、…中西君?」
「ちげーよ。もっと身近。オマエに毎日会ってんだよ」
「毎日?………兎丸君?あ、辰羅川君?」

ぶんぶんと首を横に振ると、じゃあ…、と言って上目でちょこっと俺を見た後、すぐ下を向いて、
それからまた何度か頭を上下する。
真っ先に聞きたい名前だったんだろ?それで今、なけなしの期待をかけてるんだろ?
言ってみろよ。壊してやるから。


「え、と。じゃあ、…………もう、司馬君、しか残ってないんだけど」


その言い方って、そうとう確信もってるだろ。疑問符うかんでねーもん。
なんだよ。俺が入ってないって事は許容範囲にも入ってないわけ?え?
っーか、その、妙に生きる希望がこれでもかっって溢れてる顔がムカツク。
そんなに好きか?  
まぁ司馬が。いつのまにか喋った事のない顔を掴んで無口の
引き寄せて人知れずMDでモー娘。聞いてるかもしれない(悔し紛れです。クソッ) 口を塞ぐ事だって
校則違反の塊が!!
よくあったりしますよね?



の薄い瞼が、眩しい光を浴びた直後のように激しく閉じて、その難何倍もの時間をかけて、ゆっくりと開く。
視界を覆い尽くす俺はほんのちょっと唇を離して、瞳孔のでかい眼を見つめる。



「ブーーーーー。正解は俺、でした」



顔を背けようとするを、今度は顎をつかんで上を向かせる。
ビクッと震えるのが手にとるようにわかって、小鳥をいじめているような感覚。



「俺の事好きになれよ」
「…………………無理だよ…っ」
「司馬より俺の方がオススメだって」
「!なんで司馬君のこと!!」
「俺の方が将来有望だぜ?エース確実・キャプテン候補・弁当はパンだけ」
「ちょっと人の話…」
「なぁ」
「……っ」


「俺の事、好きになれ」


2回目も、やっぱりは目を固く瞑った。


「…無」

3回目も。


「無理とか無理じゃないとかじゃなくて、なって」


そっと肩を押しかえされた力は風よりも弱かった。


「……犬飼君、今日おかしいよ」
「おかしい?あんまそんなつもりないけど」
「そんな…無理な注文つけてきて、絶対おかしい」
「夢見がちなオマエにあわせて、ロマンチックにいこうとか考えてて」
「全然…ロマンチックじゃないよ…」


さっきよりは離れたけど、それでもまだ尋常ではない距離にまだ緊張をしている
不自然に何度か髪を撫で付けた。


「絶対ロマンチック。なんなら今から魔法つかってやってもいい」
「また、でまかせ言ってる」
「嘘じゃねーって、じゃ、いくぞ」



まぁ、当然、俺がお邪魔女ドレミの真似なんかするわけでもなく、(死んでもしねぇ)
とりあえず何にも考えてなかったので、目を閉じて集中しているフリをした。
とりあえず…………どうしよう。
色々考えてみたけど、バカ猿でも魔法を使うなどとは吹聴していなかった。
ましてや、「コメディお江戸でござる」では魔法のまの字もでやしねぇ。
うーーーん魔法・まほう・マホウ・ウホマ・ホウマ・子馬・小梅・魚の目………………全然思いつかない。

カツン

固い物が床に落っこちる音がしてなんだろうと思ったら、
黄緑の球がついた飾りゴムが滑り落ちた
音だった。






これだ!!



俺は購買の袋に手をつっこんでメロンパンをひっつかんだ。








メロメローーーーーンチ!!!!!
(あーー。アンパンマン、昨日見ていてよかった。)







「………………………」




いきなりメロンパンを顔に押しつけられたは、不意打ちのキスをした時より(というかその100倍ぐらい)
さらに目をまん丸にして、口をおっぴろげて驚いて(…飽きれて?…)いた。
俺は次の動作を考えてなかったので、突っ立っていた。


「……っ……はは…」
「………?」
「…ははっ何それ!魔法…っていうか、攻撃だよそれじゃ…っ犬飼…おかしっ!!」


が笑い出して、それがすっごくすっごく楽しそうだったから、俺もおかしくなってしばらく空に向ったり
に向ったり、太陽にむかったりして笑っていた。
やがてだんだん笑いも小さくなってきた頃、俺はもう一回、聞いたんだ。



「俺の魔法にかかった?」



そしたら、はちょっとまだ苦しそうで、困ってるのか笑ってるのかわからない顔で



「魔法はかからなかったけど、攻撃は効いたかな!」



と大声で叫んでくれた。











FIN(…と思ったら大間違いですよ。)


























※余談


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屋上デバガメ3人集その1
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いやぁ〜〜〜〜〜〜。
一世一大の大告白というより一世紀語り継がれる
お笑い告白ですね!
犬飼君はそっちの才能があるかもしれない!!ビューテフル!!
………え?いつからここにいたかって?
やだなぁ
、初めからに決まってるじゃないですか。
風が強いだけの屋上に
漫画よろしく誰も来ないとでも思ってたんですか?

そんな都合のいい事あるわけないでしょう。



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屋上デバガメ3人集その2
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兄ちゃんって……けっこう、おかしい人だよね。
あ、おかしいって
別に頭がおかしいって言ってるわけじゃないよぉ?



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屋上デバガメ3人集その3
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(照れている)











やっとおわり。

>>>アトガキ