何が君の          幸せ何を
      して喜ぶわか     らないまま終る
     そんなのは嫌だ  ! 忘 れ な い で夢を
    零さないで涙だから君は飛ぶんだどこまで
      もそうだおそれないでみんなのため
        に愛と勇気だけが友達さ あ あ 
          アンパンマン 優しい
            君はゆけ 皆の
              夢守るた
                め









冗談じゃねぇ。は友達なんかじゃねー。

自分しからないぞ。

☆━━…‥‥・・――――――っていうか、こんなんありかよ2――――――━━








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その次の日の水曜日・朝練
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校門をくぐった瞬間、辰達に拉致された俺は、部室で朝のトンボかけをサボって昨日の騒動を辰達に話させられた。
(もちろん、俺が奴を追いかけた訳は消去)
辰はある意味、野球をするよりそれはそれはおもしろそうに聞いていた。
そして、聞き終わるとニヤリと笑って 恋のトライアングルですね!萌! とみたいな事を言い出した。
トライアングルって言われても、あの男がを好きな訳じゃないし。
俺がモミアゲを引っ張って黙らそうと思ったら、辰は余計にうるさくなった。
そしたら、今まで黙ってた子津がおずおずと手をあげた。


「ハイ、子津君!」

兎丸が先生を気どって子津を指差す。


「あの…その男の子ってウチのクラスの人っスよね、後ろ髪をちょっと伸ばしてて、色白の」
「子津って3組だったっけ?たぶんそうだと思う。指定バックにストラップ付いててさ」
「間違いないっス。……………その人………」
「? その人がどうかしたの〜?」
「………あ、いぇ……」


ずいぶんと煮え切らない態度で口篭もる。
なんだ?吐け。


「とりあえず言え……言ったらエースピッチャーの座を譲ってやってもいい」

「いや、エースピッチャーは鹿目先輩ですし!!!」
「チューチューうるさいのだ。辰、やってしまうのだ。」


辰はおもむろに腕を伸ばし、子津のヘアバンを引っ張って引っ張って、そして離した。
柔らかい素材だから全く痛くないので向こうの方がびっくり。


「………いいですか。言わないとヘアバンパッチンを、今、サンシャインのごとく輝いている目で見つめている
兎丸比乃(16)が半永久的にやり続けますよ。
そうすると、お母さんが苦労して100円金一バーゲンで買ったヘアバンが伸び伸びしちゃいますよ…」
ほぅらの〜びのび〜。



(俺は最近、辰がわからない)

辰の気持ち悪い手を怯えた子津は、半ば悲鳴を混ぜ合わせて端っこの方に逃げた。


「い、言うッス!! 言うっス!! ………その人っって、たしか一人っ子な筈なんですよっ」

はーっはっはっはっはっ
「・・・・・・(ビクッ!!!!)」
「おもしろい…インタレスティングですよ…!!!」


イキナリ手を握り締められてビックリした俺は、辰の目に不気味な炎を見た。
そのまま顔を近づけられてますます手に力が篭る。


「告白してしまいなさい………!!!」
「は!?」


唐突すぎね―か??


「そうだよねぇ〜。犬飼の兄ちゃん今日にでもすれば?ど〜せ両思いなんだからさ」
「………(コクコク)」
「は?ちょっ、ちょっとまてよ」
「……ですからね、犬飼君」


にぶちんですねぇ。
はぁ、と溜息をつく音。

「ですから、その男は姉がいないのに、わざわざ髪飾りを買ってあげたんですよ?嘘を吐いてまで、あげたんですよ?」
「盗聴器である可能性が高いな…」
「飛びすぎです。好きなんですよ、彼女の事が」


……あいつが?
…………………………フッ。(勝利の笑み)


「あ〜今、勝ったって顔したね!きゃ〜やらしい!兄ちゃんやらしい!!」
「いやいや、笑ってなどは…フフ」
「キャー!!キャー!!」
「いやいや油断は禁物ですよ…なんてったって、さんはちょっとずれてるとこありますしね。
それでも、天と地がひっくり返らない限りあの人に転ぶとは考えにくい…」
「まぁ…でも普通にいけば犬飼君と張り合えるなんて、野球部メンバーぐらいなもんっスからね」



ポン、と司馬が肩を叩いて頷いてくれた。ガンバレ!と言っていると受け取ろう。
なんか流され気味だが、今日告白するのも悪くない。
結局後押しされないとこういう事って決断しにくいから。










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水曜日4時間目の授業・体育
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こういう何かをしようとする日って早いよな、絶対。時間がすぎるのって。
女子に追っかけられて、たまに抱きつかれる時ぐらい心臓が早鐘を打ちならす。
まだ放課後には程遠いのに。

週番の俺は最後の男子が着替えおわって教室を出るのを待って、鍵を閉める役だ。
教室に誰もいないか除き込んで鍵を差し込んで…、と、やめた。
反対に廊下に誰もいないかどうか確かめて、俺は教室にもぐり込んだ。
普段大勢のクラスメイトと華やかな雰囲気で賑わう場所としか認識されていない教室は、そこだけぽっかり静かで、
小さな秘密基地をに案内されたようだ。
窓際のの席は、ほんの少し開いたカーテンから差した光が淀んでいた。
近づくと、現隣りの男子の体操服がの机にはみ出して置いてあったので、払う。
そして、そっと座った窓際のの席。
別にの物でも何でもないけど、愛しい気がした。
女みたいだけど、でもやってみたくなった。
きっと辰がいたら笑うだろう。
びっくりするかな。
犬飼君のキャラじゃありませんね、って。
俺も何の意味があってこんなことしてるかわからないけど。
でも、まあ、意味がないものは大抵正しいから、よしとする。
左頬が机の温度を吸収しつくしてひんやりとした頃、うっすら開けた視界が、の筆箱を捕えた。
アルミケースの簡素な創り。
他の女子のようにプリクラのシールも貼ってはおらず、中身はたしかシャーペンに消しゴム、赤と青ペン、そして蛍光ペン。
いっさい無駄なものは入ってない、必要最小限にまとめてある筆箱。
そんな筆箱の口がわずかに開いていて、俺は好奇心で開けて見た。
ほら、やっぱり、4本のペンと、こないだ俺が消しゴムを忘れた時に定規で半分にしてくれた消しゴム。
ホントは忘れてなかったけど、あの日喋る口実が欲しかったんだ。
ごめんな。
手元の小さい消しゴムを転がすと、ペンに埋もれて何か紙が入れてあるのに気づく。
とりだして裏返すと、それはあの日、俺達が中庭で弁当を食べていた時にが不意打ちで撮った写真だった。
やけに上部に片寄って映る被写体しか存在しないその写真は、まさにの筆箱のように必要最小限のものしか
ないのだ。

そう、











































司馬しか。
























?
(神様、俺は必要最小限にも含まれてないのですか)