は見かけによらず溌剌だった。
青が好きだからおとなしいのかと勝手に思っていたのは自分だが。
朝練があった。
部室でジャージに着替えてグラウンドにでる。
彼女がいた。
トンボを持って何故かグラウンドに立っていた。
その横には同じクラスの万年補欠ベンチウォーマー野球部員がしゃがみこんでいた。
名前は忘れた。
とにかくそいつはに大声でこう叫ばれていた。
「あんた!また補欠だからって落ちこまないの!
私は野球が好きなんだからやめたらしょうちしないわよ!」
その日から俺は野球が好きになった。
君との想い出その2 ※俺一人による想い出
偶然帰りのゲタ箱で一緒になった日の事だった。
(なんの事はない、台風接近のために授業が繰り上げになり部活が中止になった、ただそれだけの事だった。それでも俺は
これに対して神に慇懃に感謝した。部活の都合上一緒になることは2度となかったのだから。)
彼女は今日とてもご執心のテレビの再放送が見れる、と、とても喜んでいた。
俺はその無邪気な彼女を横目で見ていた。
外にでると思いの他風が強くて、先陣を切って飛び出す勇者達の傘は次々と砂城のように吹き飛んでいった。
彼女はかわいらしい赤の傘を頑に握り、ゲタ箱と外との境目をリスのように移動している。
キノコ傘は避けたい。
が
テレビは見たい。
と主張しているように、空気を求める金魚の様に傘が開閉を繰り返していた。
そこで俺が薄い青のビニール傘を躊躇なくさしだしていたら。
今でもそう思う。
あの時首尾よく傘は2本あったのに。
ボールは逃しても、を逃してはならなかったのに。
彼女は勢いよく飛び出してしまった。
傘をささずに!
俺はただ後ろ姿を視線で追う事しかできなかった。
彼女が水溜りでスカートを汚そうが、他人にぶうかろうが、トラックに水を掛けられようが!
※はその次の日欠席でした。
むこう水な彼女に励まされました。
人を好きになる理由ってあきれるほどくだらない。